毎日、失恋。
「うん。」

「きっと泣きたくなるようなことこれからもあると思う。」

「うん…だね。」

「でもその度に僕が佐奈を笑顔にするから。何度でも何度でも笑顔にするから。」

「うん、うん…」

「だから、この先もずっと僕の側にいて。お爺ちゃんお婆ちゃんになっても毎日、笑って過ごそうよ。」

「八神くん…」

八神くんの言葉が嬉しくて…

なのに…

私の目から涙が一つ零れる。

「これ、嬉し涙。だってプロポーズみたいなこと言うんだもん。」

慌てて笑顔で付け足す。

「えっ、プロポーズ?ああ…確かにそっか。そうだよね。いや、そのつもりだけど…でも、もっとちゃんと本番は…って、あー、なんかもう佐奈が冷静に突っ込むとかムカつく…」

照れながらそう言うと覆い被さっていた八神くんはさっと起き上がり、そのまま私も抱き起こす。そしてーーー

「うっきゃっきゃっきゃぁーーーーいやぁ、止めてぇ。」

なんとこちょこちょされた。

「なんでよぉ、なんで私が冷静に突っ込んじゃ駄目なのよ…って、もう止めて…ひゃぁ…無理っ!止めチョップ!」

八神くんの頭に軽くチョップを入れる。

「止めチョップ?なにそれ。アッハッハッ…佐奈、やっぱり面白い。やっぱり佐奈はこうでなくっちゃ。」

お腹を抱えて笑いだす八神くん。

その姿に私も釣られて笑い転げる。

リビングに広がる私達の笑い声が朝の光に溶け込んでいく。

あの時…

毎日、失恋だって泣いてた私に言ってあげたい。

大丈夫だよって。

あなたの未来はこんなにも笑顔で溢れてるって。

一頻り笑った八神くんが私の頬に手を添える。

「佐奈…」

ほら、私の目の前にも大きな笑顔が…

「八神くん…」

私も心からの笑顔を返す。

大好きーーー

言おうとした言葉は八神くんの唇に飲み込まれる。

これから始まる甘い時間の予感に胸を踊らせ私はそっと目を閉じた。  



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