ねぇ、こっちを向いて
そして放課後。
いつもより早く、図書室に到着した。
仕事をしながら、笹倉くんを待った。
少しして、図書室のドアが開いた。
ばっと振り向くと、そこには笹倉くんがいて、
「東屋」
と、掠れた声で、小さく私の名前を呟いた。
「…な、なに?笹倉くん」
夕陽に照らされて、赤く染まった図書室に2人きり。
この状況に、頭はすでにパンク寸前だった。
「東屋、昨日はごめん。……その、俺。
「笹倉くん。昨日は本当にごめん。何も考えないであんなこと言っちゃって。すごく後悔したし、私も悲しかった」
笹倉くんの言葉を遮ってしまったけど、それでも先に伝えたかった、
「あのね、笹倉くん」
「あのな、東屋」
2人の声が重なる。