ねぇ、こっちを向いて
笹倉くんは少しはにかんで
「ねぇ、こっちを向いて」
って私の耳元で囁いた。
とたんに、顔に熱を帯びていく。
それが恥ずかしくて、下を向いていると顎に手を添えて、クイっと顎を持ち上げた。
瞳と瞳が交わる。
ゆっくりと近づいてきて、
「んっ……」
夕陽に照らされた図書室で、私と彼の距離はゼロになった───。
そっと離れていく。
「これからよろしく。俺の可愛い彼女さん」
そしてもう一度、さっきより長く。
私にキスを落とした────。
*end*
