時空間への旅人
カナは大声で叫びました。
カナはいつの間にかユリの部屋のドアの前に立っていました。
「今の幻なの。だいたい私、今夢の中にいるんだよね。」
カナは不安になっていました。あまりにも情景がリアルだからです。
「ギンギン。」
カナは音がした方向に目をむけました。 そこには茶色いタヌキに似た動物が立っていました。ただタヌキと違うのは、尻尾がスカンクみたいに、白黒しましま模様をした大きい尻尾をもっていました。
そのタヌキみたいな生き物が、カナに近づいてきました。すると、
「こんにちは、私は夢の番人コアです。」
と男の声がしました。 カナは後ずさりしました。このタヌキみたいなへんぽこな生き物が話すなんて…‥。
「ギンギン。」
尻尾を振ると音がしました。
コアが近づいてくると、カナはコアが1メートル程の大きさだとわかりました。そして現実にはこんな生き物が存在しないことも理解してました。
「今、私のこと化け物だと思ったでしょ。」
コアはカナを見上げていました。
カナは顔を背けていました。
「いや~そんなことは。」
カナは嘘をつきました。しかしコアにはカナの心の中が覗けるみたいです。
「ようこそ~夢の世界に。どうでしたカナさん感想を素直に簡単に述べてください。」
カナはユリのことを考えていました。何かと気にいらないユリの悪口でも言ってしまおうかと思っていました。
「ユリの泣いている姿を見て悲しかった。」
カナは本当は楽しかった。ユリの悲しんでいる姿を見て…‥。でもカナは平然と嘘をつきました。
「あなたのお友達のユリさんにあなたは嘘をついてます。」
コアは言いました。
「私は嘘なんかついてない。あなたに何がわかるの。勝手に人の夢に出てきて。」
「お前は悪い人間だ。俺お前嫌い。」
コアの顔が真っ赤になりました。
「ギンギンギンギン。」 コアは尻尾を激しく振り回しました。
「うわ~臭い。」
尻尾から猛烈な臭いが、カナを襲いました。カナは鼻と口を両手で塞ぎました。目からは涙が止まりません。
< 5 / 12 >

この作品をシェア

pagetop