時空間への旅人
「やめて～。」
悲鳴と同時に夢から醒めました。
「まったくユリは。こんなインチキな呪文で私にこんな夢を見せて。」
カナはユリがよりいっそう憎たらしく思えました。
「でもユリが悲しんでいる姿は本当みたいだったわ、きっと。」
カナは朝まで色んなことを考え寝れませんでした。
次の日、学校に行くとユリがカナを待ってました。カナはユリを見て落ち着きがなくなりました。どんなことを話していいかわからないからです。昨日のことが信じられないからです。
「ねえ～カナ。昨日夢見た。私は見なかったわ。」
「私も。ただ…‥。」
カナは嘘をつきました。ユリが悲しんでいる姿を話す気にはならなかったのです。本当かどうかわからないからです。 「ただタヌキに似た化け物は見たけど…‥。」 「タヌキに似た化け物…‥。」
ユリは興味を示しました。しかしカナはユリに変な人間だと思われたくありませんでした。
「ごめん。私の勘違い。私も夢見なかった。」
カナはいいました。
カナはユリから聞きたいことがありました。
「ねえーユリ。ユリはお婆ちゃんが死んだ時、どんな思いをしたの。」 ユリはカナの顔を不思議そうに見つめていました。
「なぜそんなこと聞くの。」
カナは慌てました。よけいなことを言ってしまったと…‥。
しかしユリはカナの疑問に答えてくれました。「私、お婆ちゃん子だったの。だからお婆ちゃんが死んだ時悲しくてたまらなかったわ。」
ユリの両親は仕事が忙しく、ユリの面倒はお婆ちゃんが見ていました。
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表紙・目次

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