耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー



「ではミネ、戸締りお願いしますね。」

「うん…いってらっしゃい。」

俯いたままこちらを見ようとしない美寧に、微苦笑を浮かべた怜はその頭をポンと一撫でしてから、「いってきます」と言い仕事へと向かっていった。

(顔、上げられなかったよぅ~…)

引き戸締められた後、美寧は大きく息を吐きだした。やっと上げることが出来た顔は、見事に真っ赤に染まっている。
締まった扉の向こうを見つめながら、美寧は怜に頭を触れられた時、体がピクリと跳ねてしまったのが彼に伝わっていなければいいと思っていた。

昨日の朝は、怜とのお出かけが反故になってしまったショックで、彼を送り出すことが出来なかった。だから今日こそはちゃんとお見送りをしようと怜が仕事から帰ってくる前から心に誓っていたのだ―――そう、昨日の夕方の時点では。

けれど、昨夜起こった事件はその決意を大いに揺さぶった。


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