耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
閉じた猫間障子の向こう側から明るい光。
縁側で何かが動く気配がした。

「おはよう、れいちゃん」

言いながら障子を開くと思った通り。怜が雨戸を開けているところだった。

「ミネ」

振り向いた怜は美寧のところまでやってくる。
そして美寧の唇にふわりと薄い唇を重ねた。

「おはようございます」

「お、おはよう」

寝起きの顔が赤くなる。
そんな美寧を見た怜は愛おしそうに目を細め、寝起きで広がったままの美寧の髪を、二三度優しく梳くように撫でた。

「随分早く起きましたね。今日は休みでしょう?」

「うん。お弁当を一緒に作るようになって早起きに慣れて来たのかも」

怜と一緒に弁当を作ることで料理を教わるようになってから一週間。
美寧にとって最初の試練は、早起きだった。

美寧は低血圧で朝に弱い。
夜型生活に慣れていたせいもあって、朝早く起きることはまれだった。

けれど忙しい怜がミネに料理を教えられるのは朝しかない。
少しでも彼の助けになる為には、料理が出来なくては話にならないのだ。

美寧はこの一週間、毎朝自分を叱咤激励し重たい瞼を何とかこじ開けてきた。
結果、ラプワールが盆休み中の今も、こうしてすんなりと目を覚ますことが出来たのだ。
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