耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー

***


墓参りから帰宅した後、怜は職場である大学へと出勤して行った。
美寧は家に一人。仏壇の前に座っている。

シャンと伸びた背筋。正しい姿勢で正座するその姿は、着物を着ていても不思議がないくらいに気品がある。
洗礼されたその佇まいは、芯通った強さを思わせる一本の白百合のよう。
その姿のまま美寧は微動だにせず、ただじっと仏壇を見つめていた。

仏壇には、朝美寧が飾った花と怜が作ったいなり寿司が供えられている。
その向こうには怜の両親の写真。そして香炉と花立ての間に、美寧の祖父の写真が小さな写真たてで飾られている。

(おじいさま……わたし初めて誰かを守りたいと思いました)

これまで守られてばかりだった自分が、初めて守りたいと思ったひと―――

(れいちゃんはいつも私の涙を拭いてくれるけど、私だってれいちゃんの涙を拭いてあげたい。守られるばかりじゃなくて守りたい)

彼が寂しいとか悲しいとか、そんな時がこれからもしあるとしたら、その時彼の隣に居てその心に寄り添いたい。ぎゅっと抱きしめたい。
そしてその役目を他の誰にも譲りたくないと思うのだ。
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