耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
高柳が口にした言葉に、美寧は閉じかけていた目をパッと見開いた。

「トーマ…ビール……」

「ナギが勤めているのは【Tohmaグループホールディングス】という会社で、ビールをはじめとしたアルコールや飲料を作っている会社なのです。今日の手土産も【トーマビール】のものです」

「手前味噌な土産で悪いな」

斜め前で頷いている高柳を、美寧は食い入るように見つめた。

「ミネ?」

黙ったままの美寧を不思議そうに怜が覗き込んだ。

「わ、私…やっぱりちょっと酔ってるみたい!もう部屋で休むね!」

言いながら突然立ち上がった美寧に、怜が軽く目を見開いた。

「大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫……。ナギさん、ごめんなさい…あの、私のことは気にせず、ごゆっくり……」

軽い会釈をした美寧は、高柳が何か言う前にきびすを返し、あっという間に自分の部屋へ引き上げて行った。




【第十一話 了】   第十二話に続く
< 282 / 353 >

この作品をシェア

pagetop