旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
「もう、大丈夫ですよ。薬を飲んだらすぐ治りますから」

安心させるように笑顔で言うものの、彼の表情は晴れない。

「風邪だって立派な病気だろ? 油断するな」

どうしたんだろう、こんなに心配するなんて。本当にただの風邪なのに。

「胃になにか入れないと薬は飲めないよな。お粥やアイス、ゼリーなども買ってきたんだが、なにか食べられそうか?」

「あ、はい。じゃあお粥をお願いしてもいいですか? ……それとアイスも」

付け足し言うと、少しだけ彼の表情が緩んだ。

「わかった、待ってて」

そう言って彼が出ていったドアを見つめてしまう。

あんなに心配してくれたのは、大切にされているからって自惚れてもいいのかな? だって普通、あそこまで心配しないよね?

そう思うと余計に熱が上がりそうになり、首を横に振った。

と、とにかくこれ以上心配かけないように、早く治さないと。

その後、用意してもらったお粥とアイスを食べると、やっと俊也さんは安心してくれた。

薬を飲み、再び深い眠りに就いた。――そして……。

喉の渇きを覚えて目を開けると、部屋の中は明るかった。どうやら朝のようだ。時間を確認しようとした時、身体に感じた重み。
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