旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
姫乃以上に愛することはできなくても、この先の長い人生、共に過ごしていけば好きになれると思ったんだ。芽衣となら楽しく幸せに暮らしていけると。

だけどそれは浅はかだった。

芽衣と過ごす毎日は想像以上に心地よく、楽しくて幸せで満ち溢れた。

気持ちが大きく育つたびに、いまだに俺とどこか距離をとり、上司としても夫としても頼ってくれない芽衣にヤキモキするようになり……。

彼女が風邪で倒れた時、自分の中で芽衣の存在が大きくなっていることに気づかされた。

ただの風邪だとわかっていても、心配でたまらなかった。もし、芽衣まで失ったら……と考えると怖くなり、片時も離れることができなかった。

姫乃以上に好きになれる相手と、出会えることができたのかもしれない、そう思った矢先、姫乃のことが芽衣に知られ、自分でも驚くほど動揺してしまった。大切な存在のはずなのに、傷つけてしまった。
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