旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
写真に写る笑顔の姫乃を、そっと指で撫でた。

「やっぱり俺の心は、まだお前のことでいっぱいみたいだ」

芽衣に写真を見られた時に、姫乃のことを説明できなかったのは、俺の中で姫乃の存在が大きいからだよな。

姫乃以上に芽衣のことを好きになっていると思っていたのに……。そうだったら姫乃のことを芽衣に説明できたはず。

「結婚は間違っていたのかもしれない」

ただ、彼女を傷つけただけじゃないか。……やはり俺は一生ひとりでいるべきだったんだ。

どんなに後悔しても、芽衣を傷つけた過去は消せない。俺はこれから、どうしたらいいのだろうか。

答えの出ない問題に、姫乃の写真を握りしめながら頭を悩ませた。
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