旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
なんて言ったらいいのかわからなくて、お兄ちゃんを見てしまう。

「まぁ、俊也には申し訳ないが俺も母さんと同意見だ。どうだ? 転職を機に見合いをしてみるものいいんじゃないか?」

「見合いって……なに言ってるの?」

まだ正式に俊也さんとの離婚も成立していないというのに。だけどお兄ちゃんの話に、お母さんもキッチンからこちらに駆け寄ってきた。

「私もいいと思います。もちろん無理強いはしません。……でも、少しでも前向きになってくれたら私たちは嬉しいわ」

「お母さん……」

一緒に暮らしていて、家族みんなが私の幸せを願ってくれているのをヒシヒシと感じている。玲子だってそうだ。

もっと前に進まなければ、俊也さんのことを忘れることなんてできないのかも。

「わかりました。……考えてみます」

私の答えを聞き、お兄ちゃんとお母さんはホッとした顔を見せた。

俊也さんはきっと、もう前に進んでいる。私も新しい環境で新たな出会いがあれば前に進めるはずだから。
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