旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
だから正直、お互いの気持ちが定まらないまま始める結婚生活があっても、いいのかもしれない……と思う。

でも門脇部長は……? これまで噂通り、多くの女性と関係を持ってきたんだよね? それなのに私なんかと結婚してもいいの?

最後の最後に不安になり問うと、彼はすぐに答えた。

「もちろん。ずっと言ってるだろ? 俺は芽衣ちゃんと結婚したいって。……結婚してくれたら、芽衣ちゃん一筋になるよ。生涯キミと添い遂げる覚悟だ」

そこまで言われたら、私の気持ちも固まった。

家族は門脇部長と結婚すると言ったら、とても喜んでくれた。あのお母さんだって、彼に頭を下げたくらいだもの。門脇部長以上の結婚相手はいないかも……。

それに昔のような思いをしたくないし、逃げていた自分ともさよならしたい。本当の意味で幸せになりたいから。

「どうだろうか。……俺と結婚してくれる?」

私の様子を窺いながら聞いてきた彼に、迷いなく答えた。

「はい。……よろしくお願いします」

門脇部長となら、私はこの先幸せに暮らしていける。彼のことを好きになれるよね。

私の返事を聞き、嬉しそうに顔を綻ばせた彼を見て、強くそう願った。
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