残酷なこの世界は私に愛を教えた
――バンッ
「ありがとうございました!!」
「あ、ちょっと兄ちゃんお釣――」
病院に着き、すぐさま受け付けに向かう。
「あのっ! 高瀬愛珠は――」
「今、手当てが終わり308号室に……」
「ありがとうございます!」
聞き終わる前に足が勝手に走り出す。
「高瀬さん……!」
308号室のドアを開けると、そこには足と腕にギプスをはめ、頭に包帯を巻き、ベッドに横になっている高瀬さんの姿があった。
横にはお医者さんと看護師さんが立っている。
ゆっくり近付いて行くと、目を閉じているのが見えた。
「あのっ、高瀬さんは……」
「大丈夫、眠っているだけです。意識はありますし、怪我もそれほどひどくありません」
看護師さんが口を開く。
いやいや、こんなに包帯だらけでそれ信じられます?
「足は重度の捻挫、腕は少し骨にひびが入っていました。頭は擦り傷で、打ってはいないようです。……少し入院してもらうことになりますが、それほどかからずに退院出来るでしょう」
「そう、ですか……」
お医者さんの説明に少し安心した。
「高瀬さんの保護者の方の連絡先を知ってるかな?」
「いえ……。ただ学校は同じなので……」
廊下で看護師さんに聞かれ、知っていることを話す。
「ありがとうございました」