残酷なこの世界は私に愛を教えた
◇◇◇
次の日の昼休み。
屋上には、いつもと違う光景が広がっていた。
四時間目の後、担任に捕まって遅くなり屋上へと走った。
ドアの先には隼人ともう一人、女子生徒がいた。
何だろう。胸騒ぎがした。
その女子生徒は下を向き、両手で顔を覆っている。泣いているらしい。
隼人が彼女の頭に手を掛けた。
ねえ、ちょっと待って。二人の立っているところ、ちょっと端過ぎない……?
今にも落ちそうなんだけど。
もしかして。
自殺未遂……?
女子生徒は顔を上げて隼人のことを見つめた。
何か話しているけれど、その内容は聞こえない。
その横顔には見覚えがある。
いや、その綺麗なバランスの良い横顔を忘れるはずがない。
あれは……。
昨日の記憶が脳裏によぎる。
『屋上で端に立ってたら、隼人が自殺しようとしてるって勘違いしたらしくて』
あれは……あこそに居るのは、石橋麻由子。