旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
「……全く、お前のおかげで変に疑われたじゃないか。『誰でも知ってる匂いだから平気よ』なんて言って、人の上着にシュパシュパ掛けやがって」


ドアを閉め、カウンターへ戻ってくるママに嫌味を言う彼。
ママは、知らない人がいるなんて思わなかったのよ…と弁明し、お詫びに…と言いながらビールとロックを入れ直してくれる。


「……でもさぁ、それって脩君の日頃も日頃だからなんじゃないの!?」


仕事ばっかりして奥さん孝行してないんでしょ、と笑い飛ばす。


「そんなことは……。それに、そもそもお前の所為で、新婚早々から呼び出されたんだろ」


忘れもしないぞ、とゴールデンウィーク中のことを話し始める。
それによると、申告漏れを税務署から通達されたと言ってきたママが、「どうすればいいの!?」と彼に泣き付いたらしく……。


「本当に何も考えずにどんどん店ばかり増やすからだ。お陰で帳簿の管理はデタラメだし、申告しないといけないところは上げずに、知らん顔して放っておくからこんなことになるんだよ!」


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