旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
「未彩……何処へ行く?」


体を引き寄せながら背中に吸い付き、こっちはそのくすぐったい感触にゾクゾクとしながらも胸が高鳴る。


「さ…散歩へ…」


ただ行こうとしてただけなのに止められ、行かせないという感じで身体中にキスが落とされてくる。


「んんっ…」


朝からこんな甘ったるい絡みを求められるなんて思わず、その指先が動く通りに自分の心拍が上がっていく。



「脩也……さん……」


一晩かけて彼を名前を呼ぶことを教えられ、それを声に出すと唇を吸われる。

ゆっくりと捩じ込まれてくる舌先。
口の中を探るように動いて、私の舌を見つけると自分の方へと絡めて吸い取っていく。


昨夜とはまた違う感じで求められ、それに応じて気づくとすっかりお昼近くになっていた。



ようやく起き上がって、軽めのランチを済ませた私達が向かった場所。

それはホテル内にある結婚式場の案内所で、そこで彼は、「写真撮影を予約している皆藤です」と名乗った。



「ああ。いらっしゃいませ」


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