旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
「例えば子供が出来ても、未彩が思う時に勉強へ行けばいい。
子供と一緒に三人で渡英しよう。耳から入る音って大事だし、幼いうちから英語を聞き齧ってたら、意外とグローバルな人間に育つかもしれないじゃないか。

そしたら海外で活躍出来る人になるかもしれない。それに、いろんなことを家族で見て回れるって素敵だな…と俺は思うけど」

「でも、脩也さん仕事が…」

「ああ、それも大丈夫。俺、将来は独立して税理士事務所開くつもりでいる。その為に今あの家に住んでると言っても過言じゃないから。
だから、未彩は何も心配せずに自分の夢を叶えていいんだ。
全面的に俺も協力するし、それでこそ俺達二人が結婚した意味もあるだろ」


どちらかが我慢して暮らすことなんてない。
二人にとって、いい生活が出来るよう努力しよう…と手を握る。


「チャペルで『改めてよろしく』と言ったろ。俺達二人、まだまだ結婚生活の始点に立ったばかりだよ」


先が長いんだから、ゆっくり足元固めながら進もう…と笑い返す相手。
そのクシャリとした可愛い笑顔を見て、私はあの出会った日のことを思い返した……。


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