旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
「ごめん。未彩さん」


退勤時間間近にかかってきた電話に出てみると、相手はなんと旦那様だった。


「悪いけど、今夜も帰りが遅くなると思うんだ。だから夕食は一人で食べて」


カード使っても構わないから…と言うと、さっさと電話は切られてしまい、私は呆然としながら暗くなってくスマホの液晶を見つめる。



「何よ」


ついそんな言葉を言い放った。
毎晩帰りが遅いくせに今夜も！？と相手を怒鳴りつけたくなり、ぐっと喉を詰まらせる。


「今夜は心を入れ替えて、一緒に居ようと決めたのに」


自分なりに覚悟を決めたつもりだったのに、その腰はやはりポッキリ折られてしまった。


「よし、こうなったらこのカードで豪遊を！」


してやる、と呟きながら取り出したゴールドカード。
だけど、庶民の自分には使いこなせず、そういう気分は直ぐに萎れていき、すごすごと家に帰り、一昨日作り過ぎた煮込みハンバーグをロコモコ風にリメイクして食事した。


食べながら私はまた後悔して、今更だと思うけど気落ちしながら溜息をついた。


< 44 / 225 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop