旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
自分もこのままずっと一人にされたら嫌になるかもな、と思い、多少は見れるようになった庭に目線を落として、地面に敷かれた天然石と周囲に植えられた樹々の配置を確かめてまた目線を上げてみた。


「あの紅葉、ちょっと邪魔だな」


縁側の対面に植えられた樹々に目がいく。
特に枝が立ち上がって伸び過ぎた紅葉は庭の景観を悪くしていて、全体の雰囲気も暗くして、大きな影を落として見えた。


「あれを何処かに植え替えて、此処を枯山水風にしたらいいかも」


天然石と玉砂利を格子状に配置し、月光が砂利に反射する様に見せたら素敵かもしれない。


「そうなると木も少し間引かないとダメね」


重機が要るなぁ…と庭を見つめ、それを操作出来る人も必要ね、と仕事仲間を数人頭に浮かべる。


「…あっ、そうだ。あの人に頼んでみようかな」


適当な人が一人浮かんで連絡しようと考えた。
彼ならきっとブチブチ文句言いながらも私の手伝いをしてくれる筈…と期待して、ワクワクしながら窓を閉めきる。


「明日早速お願いしてみよう」


そう決めて部屋に帰り、頭で練った庭をスケッチブックに描き起こす。

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