異世界から来た愛しい騎士様へ
「それには理由があって……。」
「そうかもしれませんが、私共はそれを知らなかったのです。だから、調べさせて貰ったんです。」
エルハムの言葉を最後まで聞かずに話しを進めるセリムは、騎士団の正装の内ポケットから何かを取り出してアオレンに渡した。
確かに、チャロアイトの図書館に行く事は、エルハムとミツキだけの秘密にしていた事だ。
2人でチャロアイトに向かうことは確かに怪しく見えたかもしれない。
けれど、理由も聞かずに部屋を捜索するのはやりすぎのように感じてしまった。
「だからと言って部屋に勝手入るなど……。ミツキを見るならば、私の部屋も見たのですか?」
「エルハム、お前は自国の姫だ。おまえが密偵のはずがないだろう。それとも、おまえが密偵なのか?」
「そんな事は………。」
アオレンは大きく息を吐いた後、エルハムに近づきセリムから受け取った紙をエルハムに渡した。
「ミツキの部屋から、これが出てきた。」
「………これは………。」
アオレンから受け取った紙を見て、エルハムは驚いた。そこにはミツキに宛てた手紙と、ミツキが書いたと思われるものがあった。