異世界から来た愛しい騎士様へ
セリムは背中合わせで剣を構えていたミツキに小さな声でそう言った。
ミツキは、言われた方向に一瞬視線をのみ向ける。そこには、武器を持たずに、手に光を宿している男が多く居たのだ。
それを見て、セリムが言いたい事を理解した。
「戦力が集中しているな。」
「あぁ………エルハム様がそちらに居る可能性が高い。」
「そうなるな。早く、ここを片付けて………。」
「ミツキ、おまえはその扉の先に向かえ。私はここを片付けてから向かう。」
「なっ………それはいくら何でも無茶だろう?」
セリムの提案はもっともだ。
ここで2人が倒れてしまっては元も子もない。けれど、先ほどまで戦ってきたコメット達とは違い、精鋭揃いだというのが戦わなくとも雰囲気で感じられる。
実際、セリムとミツキの様子を伺い、安易には攻撃してこない。
けれど、ミツキの意思は固いようだった。
「エルハム様は、おまえを専属護衛に選び、そして、おまえにだけ助けたを求めた。会いに来たのはお別れを言いにではないだろう。ミツキ、おまえを求めているのだ。」
セリムの言葉に、ミツキはハッとした。