異世界から来た愛しい騎士様へ



 「………っっ!」
 「私は、鉄を操る魔法でね。剣など形成して自由に扱えるんですよ。これを作ったのも私の魔法です。」

 
 男はベットに刺さった大きな針を引き抜き、その鋭利な先をエルハムに向けた。


 「あまり私を怒らせない方がいい。その白い肌が真っ赤になる事になってしまう。」
 「……………。」
 「そう。大人しくしていた方がいい。殺すときは痛さも感じないぐらい早くに殺してあげますから。…………あとは……。」
 「あっ、それは…………。」


 エルハムが握りしめていた、ミツキから貰った日本のお守り。
 それを乱暴に奪い取る。
 エルハムは、それを阻止しようとするが、男の力には敵わうはずもなく、あっという間に彼の手に取られてしまう。


 「お願い、それだけは………それだけは返して。」
 「…………騎士様から貰ったものか。……なるほど。では、これを返す代わりに、私におまえから口づけをしろ。」
 「………え………。」
 「大切な物なのだろう?それぐらい容易いはずだ。」


 男の手で握りしめられるお守り。
 それを動揺しながらエルハムは見つめた。
 

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