異世界から来た愛しい騎士様へ


 ミツキは、頬に触れていたエルハムの手に自分の手を重ねた。温かさを感じるように、目を細めている。

 エルハムは涙を空いている涙を拭っていると、不意にミツキの顔が近づいてきた。


 「…………ミツキ。」
 「………おまえにキスしたい。……今度は俺から………。」
 「して欲しい。これから、沢山ミツキにして欲しい。」
 「………喜んでさせていただきます、姫様。」


 ニッコリと微笑んだミツキは、ゆっくりとエルハムに近づき、唇に優しくキスを落とした。
 1度ではそのキスは止まらず、今までの気持ちを伝えるかのように、ミツキはエルハムの唇の感触を何度も確かめていた。
 吐息をもらし、エルハムもその口づけにこたえ、ミツキの唇に自分の唇を押し付けた。

 ミツキの体温が唇を通して移っていくのか、エルハムの体が熱くなっていった。
 キスはどんどん深くなり、エルハムの力が抜けていく。体に力が入らなくなり、ミツキに寄りかかっていると、ミツキはそれに気づくと、エルハムの肩を優しく抱き締めながら、そっとベットに押し倒した。


 「………ミ、ミツキ………?」
 「あの男に触れられたところは?どこ……?」
 「え、なんで………。」
 

 ミツキはそう言うと、熱を帯びた瞳でエルハムを見下ろし、ゆっくりと熱い手でエルハムの首筋に触れた。
 見たこともないミツキの表情。年下で弟のようだったミツキは、もうそこにはいない。知らない男の大人の表情が目の前にあった。


 「キスマーク………見つけたから。あいつがやったものなら、俺が消毒したい。」
 「消毒って、でも………急には恥ずかしいよ………。ほら、お風呂にも入ってないし。」
 「そんなのどうでもいいよ。あの男がエルハムに触れたんだ。俺も、エルハムに触れたいし、感じたい。」
 「………ミツキ………。」


 突然の事に戸惑ってしまう。

 ミツキに求められている事は嬉しかった。けれど、あの男にされた跡はまだ体に残っているはずだった。それを大好きな人に見られるのは、自分が汚れてしまっているようで、辛かった。
 エルハムの顔色が変わったのがわかったのか、ミツキはハッとして体を離した。


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