月と太陽
少し驚いた表情の黒髪の人と明らかに面倒くさそうな表情の明るい茶髪の人。
米沢さんは私の手を引っばってその人たちの方向にずんずん進む。
群がる女子はみんなはじに避けて自然と道ができる。
「かーなーたー!!!」
「げっ、鈴羽!あーもう来んなよー。」
「なんでそんなこと言うの!学校また来ないのかと思ったんだよ?!」
「いや、お前に関係ねぇじゃん。」
「ひどっ!!それに、あたし朝連絡したじゃん!」
「あー?見てねーよ。」
「はあ?!」
米沢さんはそう言って、怒っているけどなんだか嬉しそう。
もしかしたらあの茶髪の彼のことが好き?なのかな?
知らないけど。
言い合ってる米沢さんと茶髪くん。
うん、だんだん私がここにいる意味がわからなくなってきた。うん。
いなくても、いい、よね?
そっと立ち去ろうとしたとき
ふと茶髪くんの隣にいる人が視界に映った。
彼は私を見て驚いた様子。
あれ?どっかで見たことあるよーな?
「「あっ」」
「あんた朝の、、。」
どうやら同じことを思っていたらしい。
「おい、奏太。こいつ。」
「あ?」
あたしを指さして、、、えと、、たしか黒髪くんが茶髪くんに声をかける。
普通、今日初めて知り合った人のこと指さしてこいつ呼ばわりする?
「え?なになに!陸、さっちゃんと知り合いなの?!」
え、ちがうちがう。ていうか『さっちゃん』?!
「あ?ちげぇよ。今日朝あったばっかだわ。」
「へえ!そっか!じゃあさ、陸とさっちゃんは顔見知りなんだし、、みんなでお昼しよー!」
「「は?」」
「え、いやあの米沢さん?聞いてた?知り合いじゃないんだって。」
「よし!そうと決まればレッツらゴー!」
ダメだ。全く聞いてくれない。
「はぁぁあ。人の話を聞けよぉ。」
そう言いながら、いやいやとついて行く茶髪くんと同じようにため息をはいて歩く矢代くん。
少し離れるだけで、たくさんの生徒から注目を浴びる3人は別世界の人のよう。
「さっちゃーーん!はーやくー!」
はいはい。まだ比較的至近距離にいるんだからそんな大きな声じゃなくても。
女子の痛い視線を受けながら私は慌てて3人の後を追った。
