COLOR
PURPLE 孤独



あれから更に2年が経った

冬華への想いは立ちきれず
俺の世界はモノクロのまま

少し似ている子を見つけたら胸が高鳴って
違うのが解れば落ち込んで


この二年で更に情けない男に成り下がっていた
沢田とは直ぐに別れて

そのあとは、軽い女に告白されて断るのも面倒で、付き合って
割り切って体の関係にもなれなくて


人間としても、男としても最低


そんな最低な俺でも医者になれた
二人の父親の様に…………
その想いだけはずっと変わらずに
仕事にはちゃんと真剣に向き合っている


24歳


冬華と出会ってから8年
別れてから4年


この先は何も見えない
そして今日もまた別れて

大事なのは仕事
それ以上のものなんて、俺にはもうない


あー、どうせまた別の女に告白されての繰り返しになる生活に
やっと色がついた

小さく呟いた名前に


「はい?」と振り返ったのは

あの時よりも少しだけ痩せて、更に美しく魅力的になった冬華だった

四年ぶり
忘れたことなんてない
ずっとずっと想い焦がれていた


「冬華!」

「な、なつ?」


そうだ、冬華だけが俺の事を"なつ"って


自然に他の女には呼ばせなかった
それは彼女だけのもの

そして、俺だけのものだったんだ




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