COLOR





「あ、じゃあ」

「待って!」


気まずそうに立ち去ろうとする冬華の手を慌てて掴んだ
久しぶりに触れた手はあの時と変わらない温かくて小さくて
切なさが込み上げてくる


驚き引こうとする手を離さないようにぎゅっと更に握って引いた


「きゃっ、え?」


俺は無言でそのまま手を引いて歩いた
突然、連れ去られた冬華は何度も俺を名前を呼んで
更に俺の気持ちは昂った


離さない
やっと見つけた





「え?お兄ちゃん?
え?ふ、冬、お、姉ちゃん?」



何故だが連れてきたのは今独り暮らしの部屋じゃなくて実家
日曜日の今日はみんな家にいることはさっきの電話で知っていた


「あ、あづちゃん」

「お姉ちゃーん!わーん!」


子供のように冬華に抱きついて泣き出した双子の一人
俺も泣きそうになる

妹の様に感情を露に泣けたなら


「秋?うるさいよ、どうしたの?
………え?ふ、冬…………わーん!」


騒がしさにもう一人の双子が玄関に出て来て
冬華を見つけて抱き付いて泣いて………

冬華の鼻も赤くなる
泣きそうになった時はいつも鼻が赤くなって
我慢してる姿が可愛かった


「はづちゃん……」


俺と繋いでいた手を離して二人を抱き締めた
小さい身体で二人を抱き締める姿に胸が詰まる


妹二人も冬華が大好きだった
家に遊びに来た時はいつも冬華の取り合いで




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