COLOR
PINK 愛



冬華との出会いは高校の入学式だった



エスカレーター式の学校だから殆どが知ってる顔ぶれ
担任から自己紹介をするように言われ、ふざけながら言うやつ、クールを装いながら言うやつ


その中で「加藤冬華です」と鈴が鳴ったような声だった

気になって、その方を向いて興味が生まれたのは

妹たちがいつも「冬がないねー」なんてふざけながら言っていたからなのか
それとも、その容姿になのか


今となってはきっと両方
一目惚れだったのだろう

運命だと思った



夏月(なつき)と言う自分の名前と
双子である妹の名前は春月(はづき)と秋月(あづき)


「もう一人産めば良かったのにねー」なんて言いながら涙するのはもう産んでくれた両親はいないからだ


自分と6歳離れた妹達は両親の事は殆ど覚えていない
俺が8歳の時にあっさりと交通事故で逝ってしまった

明るく人の良かった両親との別れには沢山の人が集まってくれて
突然両親を亡くした俺達に手を差し伸べてくれた親戚も沢山いた


世間で言われる様な保険金目当てとかではない

特に父親の弟夫婦にはを子どもがいなかったのもあって、昔から俺達は随分可愛がられていた


「三人の子どもが一度に出来るなんて嬉しいな」


まだ二歳の妹達を自分で育てるなんて出来ない俺はそう言ってくれた二人の元にお世話になることにした






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