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俺が受け取りになっていた保険金
それは、俺達三人が困らない額だった
お世話になるのだからと、二人に託したが
「貴方達が成長するのを見たかっただろうからそれに使わせてもらうね」と
俺達三人の中学、高校、大学への進学費に充ててくれて
行きたい学校に行けた
本当の子供のように俺達へ愛情を注いでくれた
時には叱り、殴られた
父親の様に
遅く帰ると心配して抱き締めてくれた
母親の様に
思春期の子供の様な反抗期も無かったように思う
本当の親じゃないから、と我慢した事も無かった
時々は「兄貴はな~」と自分達の知らない両親の事を教えてくれたりもした
俺の夢は医者になること
それは、亡くなった父親も育ててくれた父親も医者だからかも知れない
そして何より父親の様に一人でも多くの人を助けたかった
ガムシャラに勉強した
中学受験をしてそのお陰で一番の進学校に入学できた
医者への道が開けた瞬間だ
それでも医学部への道は遠く困難だ
小学校とは違い優秀な奴等が集まっている
小学校で一番でも中学、高校ではそうは行かない
中学高校のエスカレーター式だったが安心できない
恋愛なんてする暇もない
いや、する気もなかった
そんな時間が惜しかった
友達には「お前男か?」と心配されたな
中学になると身長も伸びてモテ始めて告白もされたけど何もなかった