絆 ~私は必要ですか?~ 【完】
さらに 九条さんとは会えず、メッセージのやり取りのみで2週間ほどが過ぎたある日。



親友の水野礼子(みずの れいこ)から飲みに行こう!と誘われ、今日は金曜日で明日は仕事が休み。というのもあって、久しぶりに飲みにきている。
礼子とは高校の時からの付き合いで、一番信用できる友人だ。

「柚希 久しぶりねぇ。元気してた?」

「元気。元気。礼子は? 最近なかなか会えないからどうしてるかなぁって思ってたよ。」

「お互い仕事忙しいからねぇ」

「そうだね~。でも久しぶりに会えたし、今日は とことん飲もう!」

「「かんぱ~い」」
なんてお互いの近況報告をしたりして楽しく過ごした。
この時 九条さんの事は何も話さなかった………話せなかった。
どう話せば良いのか よくわからなかったから………

楽しい時間を過ごし、店を出ようとした時に、バッタリ九条さんと会ってしまった………
九条さんは女性と腕をくんで入ってきた所で、お互いがビックリして固まってしまっていた。

「禅さん お知り合いの人ですかぁ?」
九条さんに声をかけながら私に牽制するような、視線をぶつけてくる女性の言葉で、私は我に返り

「こんばんは 九条様 ご無沙汰しております。

このような場所でお会いするとは思っておりませんでした。」

頭の中はパニックで、心臓はバクバクしてるのに、ビジネス仕様の笑顔を張り付け 冷静なあいさつをしている自分にビックリする。
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