絆 ~私は必要ですか?~ 【完】
「九条さん。柚希は妊娠していました。」
柚希の父親の言葉。

「えっ?!に……ん………しん………」
柚希が妊娠………俺達の子供………すっげぇ嬉しい。

「九条さんの子ですか?」

「はい。私と柚希さんの子供で間違いありません。申し訳ありません。結婚前に………」

俺の言葉にかぶせるように、柚希の母親が

「流産したわ。階段から落ちた衝撃で!」

喜んだのも束の間。俺は立っていられなくなり、その場に座り頭を抱えうなだれる。
そんなことってあるかよ………

「妊娠初期の初期で、悪阻の症状もまだ出ない位で、本人も気付いているかどうかわからないそうです。」
柚希の父親が説明してくれた。

隣で誠が何か言っているが、俺は頭を抱え考える事も動く事も出来ずにいた。

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