初恋 ~頑張る女子と俺様上司の攻防戦~
「それにしても、玲奈と祐介くんがねえ・・・」
仲よさそうに座る2人を見ながら、やっぱり信じられない。

去年の春、たまたまパーティーで見かけた祐介くんに玲奈が一目惚れしたと聞いた。
しかし、血筋は良いものの一介の政治家秘書でしかない祐介くんとの交際に玲奈の家は反対だったらしい。
それを玲奈が強引に押し切って、2人は結ばれた。
初めて2人が一緒に暮らすと聞かされたとき、祐介くんはどう思っているんだろう?と気になった。
玲奈が1人で暴走しているんじゃないかと心配もした。
でも、それは余計なことだった。
いつも天真爛漫に、楽しいときには笑い、腹が立てば怒り、ときには拗ねたり、ストレートに感情を表に出す玲奈を祐介くんは楽しそうに見ていた。
その顔を見て、「ああ、この2人なら大丈夫」と確信した。

「玲奈、薬飲んだ?」
「あっ、まだだった」
慌てて立ち上がる玲奈。

「慌てるな。ゆっくりでいいから」
「うん。ついでに台所も片づけてくるね」
「ああ、無理するなよ」
「わかってる」

フフ。
かわいいなあ。


玲奈が台所に行ってから、私と祐介くんは2人になった。

「薬って?」
聞いてもいいのかなって思いながら口にした。
「貧血と張り止めの薬」
「へー」

玲奈は今、妊娠6ヶ月。
夏にはお母さんになる。

「なあ、未来」
祐介くんが真面目な顔で私を呼んだ。

「何?」
「実は・・・」
とっても言いにくそうに、祐介くんは話し出した。
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