全てを愛して
猛「まだ抱き締めてていい??」
「うん・・・いいよ・・・」
いい匂い・・・
猛「・・・好きだよ・・・好きだから・・・幼馴染みでも一緒には寝ないで??」
さすがにそれは嫌だ。
「・・ん・・」
猛「・・・・そういえばさ、さっき電話で発作がどうのって話してたでしょ??何の発作??」
「あぁ、喘息。私喘息あってね、体調悪いと出やすくて・・・」
猛「煙草吸っちゃ駄目じゃん!!!!」
害の害。
危ない、俺も知らなかったら目の前で吸うところだった。
「んー・・・そうだね。」
猛「やめなよ。喘息って咳止まらなくなるんだろ??苦しいし・・・」
「・・・大丈夫。ちゃんとわかってるから・・・心配してくれてありがと。」
伏し目がちだったのが、下から除き混むようにして、顔がかなり近い距離にあった。
猛「・・・・・・・・・」
キスしたい・・・
俺は下心しかないのかよ。
「・・・・・この先ね??」
猛「ん??」
「・・・・・この先・・・もしも、私のこと嫌いになったら・・・」
猛「ならないよ。」
「・・・」
目があっていたのに、下を向いて首を振り
「なるよ。絶対なんて・・・ないから。その時は、ちゃんと振ってね。」
悲しい眼差しで俺を見て、俺は思わず
チュッ
「!!!」
柔らかい・・・
甘い香り・・・
きっと、彼女は人を信じるのが怖いんだろう。
信じて傷付くのが嫌だから。
でも俺を前の男と一緒にされては困る。
猛「俺は・・・君を待つ。でもね、待つのが限界になったら・・・その昔の男との約束なんて破らせてでも・・・俺のものになってもらうよ??俺の愛は・・・・重いんだよ??」
信じられないなら、信じさせてやろう。
昔の男がどんなやつだったか知らないけど、どんな約束をしたんだ。
それに縛られて前に進めないなんて・・・
心に渦巻くモヤモヤは、初めて経験する。
これが嫉妬なんだな・・・
そんな男のこと、忘れさせてやるからな。
猛「こうやって抱き締めたり、手を繋いだり・・・・これからはしたい・・駄目??」
温もりを感じたい。
同じ気持ちだと知って、少し欲張りになってるのかな・・・
「クスクス・・・キスしたのに・・・」
確かにっ・・・
付き合ってもないのに・・・
「・・・嬉しかったから・・・そんな絶望的な顔しないで??」
猛「ありがと・・・でも、次にキスするのは・・・・付き合ってからね。中途半端はよくないからさ・・・でもスキンシップだけ許して??」
「ん・・・わかったよ。」
優しい気持ち。
こんなに穏やかな気持ちになったのは、初めてだ。