夏色の初恋を君にあげる


ストローを指して、そっと吸い込めば、いちごミルクの甘さが口の中に広がった。



――さっきの男子の言葉が、胸にシミを作ったかのように離れない。


私は雅の付属品。ずっとそうだった。

雅が隣にいると、私のことはだれも見なくなる。そのたび、まるで自分が透明人間になったように思えた。

だから、由良くんに出会った時も無意識のうちに名字を名乗ることを避けていた。


でも、こんなみじめな気持ちになる自分が一番大嫌いだ。雅のことは大好きなのに、いつまでも卑屈な自分が。


次から次へと押し寄せる負の感情の波と涙を耐え忍ぶように、ちびちびといちごミルクを飲んでいる間、由良くんはずっと黙って隣にいてくれた。


飲み干した頃には、とっくに五時間目が始まっていた。

そのことを謝ると、由良くんはなんてことないように笑った。


「俺、授業サボってみたかったんですよね。だから付き合ってくれてありがとうございました」



由良くんはきっと知らないだろう。この時、私がどれほど救われたか。


もう接点などないだろうと思っていた由良くんにもう一度会えたのはきっと、神様のせめてもの慰めだったのかもしれないと、そう思った。





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