夏色の初恋を君にあげる
秘めていた恋心が大きくなるたび、心の内からあふれ出ようとする。
ふとした瞬間、好きだとこぼしそうになる。
この気持ちを伝えたら、もう今のように笑い合えなくなってしまうのだろうか。
踏み出したいのに踏み出せない。
その狭間で揺れていた、ある日。
4時間目が終わり、迎えた昼休みのこと。
友達と机を合わせ、お昼ご飯を食べようとお弁当箱をスクールバックから取り出した私は、そこであることに気づいた。
「あ、これ雅のお弁当だ」
端にイニシャルが刺繍されているお揃いのお弁当包みを使っているのだけれど、今朝はバタバタしていたせいで、私も雅もよく確認せずに持ってきてしまった。
「朝、間違えちゃった?」
「そうみたい……。ちょっと雅のクラス行ってくるね」
「行ってらっしゃーい」
雅が食べる前にと、お弁当箱を抱えて急いで教室を出る。
階段を駆け下り、二年生の教室がある二階の廊下に出ると、昼休みだからか多くの生徒で賑わっていた。