女を思い出す時
次の日の朝 早く翔に会いたくて
送りの車から飛び降りた。

なんとなく引っかかった手紙の最後も
気になっていたから
昨日翔に 抱かれて全部忘れられた

早くそう伝えてあげたかった。

もう罪悪感で翔を苦しめたくはない。

「紀香ちゃん!!」

振り向くて 博人が慌てた顔をして走ってきた。

博人のベッドでちょっと
申し訳ない事しちゃったなって
少し恥ずかしい気持ちになった。

「昨日はありがとう。」

目をそらしながら頭を下げると

「翔 なんか言ってた?」

「なんかって?」

「これ・・・・・。」

私の手紙と同じ・・・・・
大学ノートが小さくおられていた。

「朝 新聞受けに入ってた。
アイツうちのとこも 配達してるからさ。」

「読んでいいの?」

博人が頷いた。


『博人 ありがとう。
俺一生おまえの事 親友って思っていいか?
初めてできた大切な存在だった。
俺の事は忘れていいから。
その分俺がおまえを覚えておくから。』

今ひとつわからなくて博人の顔を見た。

「おかしな内容だろ?」

「翔は?」

「まだ来てない。」

不安が胸をよぎった。
私への手紙も 最後のところは
別れを思わせるような内容だった。

ハッとして 博人と目が合った。

「行こう 職員室!」

走り出した博人を追って私も走った。

「先生!!」


そして私は知るんだった。
あの手紙は愛の手紙 そして別れの手紙だったこと。


あの事件の少しあと 翔は学校をやめる
手続きをしていた。
将来のある翔を心配して 先生たちが説得したけど

昨日 母親と一緒に退学をして
この地を出て行く事になったと


翔は そのままあの笑顔を最後に
私の前から 消えてしまった。


現実を受け入れられない私に
追い打ちをかけるような事が起きる。
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