先生と準備室 後編
凌久の少し低くなった声。

だけど、それは怒る時の声じゃない。

私に正直に話して欲しい時の声。

あの時もそうだった。私が同棲を

始めるときに酔ってしまった後。

あの時も低い声で私を呼んだ。怒られるの

かなって少し緊張していたら

「佳奈?ほら、おいで?」

両手を広げて微笑んでいた。

今も一緒。

「うぅ…無理だよ…こんな…私ッ…」

前は抱き着いていたけど、今回は無理。

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