好きになっては‥‥いけない人

⑩・・壊れる


その日······

どうやって、家に帰ったのか
覚えていない······




この······私の決断が······
私自身を苦しめて行く事に······



あの日から三日後に
姉は退院して実家に帰ってきた。

聴き手の右手が使えない姉を
マンションに帰すのを父が
心配したからだ。


姉は、会社にも復帰することになり
毎日、大輝さんが送り迎えを
している。

姉の事故の時、速やかな対応を
してくれた大輝さん
父は、そんな大輝さんが
姉の彼氏だとわかり
本当に嬉しそうだった。

そんな父は、自分がいるときに
大輝さんが来ると
一緒に夕飯を食べようと
誘ったり、何かと家に呼び寄せる。
「もぅ、お父さん、
    大輝も忙しいのよ。」
と、言う姉に
「いいじゃないか。
うちは、娘だけだから
息子ができたら、一緒に
飲んだり、話しをしたり
したかったんだから。
なぁ、いいよな、大輝君。」
と、言われて嬉しそうな大輝さん。
「はい。俺も楽しいし
     心配ないよ。」
と、言うと、父は嬉しそうに
「ほらっ。」
楽しそうに会話をする
三人を遠目に見ながら
私は席を立つ

すると姉が
「あらっ、花、どこに行くの?」
「あっ、お風呂に。」
「そう。
花、大丈夫?
なんだか、元気ないみたいだから
仕事大変なの?」
と、言われて
みんなが一斉に私を見るから
慌てて
「そんなことないよ。」
と、言ってリビングを出て
自分の部屋に戻りお風呂に入った。

部屋に戻る時
姉の部屋のドアが
少し開いていて
姉と大輝さんが抱きあっているのが
見えた。

うっ・・ダメと‥‥
泣いたら、ダメっ
泣いたら・・・

自分に何度も言い聞かせる
辛くても·····
自分で······決めたこと‥‥だから‥‥
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