好きになっては‥‥いけない人
花·····
稜さんの家で
過ごすようになってから
家から解放され
姉と大輝さんから離れられ
二人を見なくて良くなり
私は、少しずつ笑顔が出るようになった。
夜も眠れるようになり
食事も喉を通るようになっていった。
稜さんも矢野先生も
凄く喜んでくれて・・
本当に・・二人のおかげだ。
大輝の事を忘れたわけではない
忘れられるはずがない。
だけど·····もう·····
忘れるよう·······
そう······思うようにしよう······と
花は考えていた。
一度も使うことのなかった
大輝の部屋の合鍵を
握りしめて、花はその日
涙が枯れるまで泣いた。