甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
「それって、あの、どういうことでしょうか?」

あまりの動揺に声が上ずる。

横にいる弥生に助けを求めようとするけれど、弥生はなんのことかわからず眉間にしわを寄せ首を傾げている。

『僕のうちに来て一緒に住んでもらえないかってこと』

えー!!!!

ごくりと喉が鳴った。

それって、ひょっとして同棲とかそういう……結婚前の男女が一緒に暮らすなんていう……いわゆる一般的にはふしだらな状況になるってことですか?

私の周りにももちろんそういうカップルはいたけれど、自分には到底できっこないと思っていたこと。

母が絶対許してくれないだろうこと。

男女が一つ屋根の下で暮らすってことは、いわゆるそういう関係になること前提かもしれないってこと!!

スマホを持つ手がわずかに震えていた。

弥生が心配そうな顔で私を覗き込み、口パクで『大丈夫?』と聞いている。

私はぶんぶん首を横に振った。

『やっぱり無理かな。ぷーすけにはきっと君が必要なんだ』

ぷーすけのため?このままだったらぷーすけがどうにかなっちゃうから?

本能。

本能に忠実にあれ。

間宮さんに気づかれないように大きく深呼吸した。

「わかりました」


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