甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
言ってしまった。

後先のことも考えず、ただ本能の赴くまま。

そのあと、間宮さんとどういう話をしたのかはほとんど覚えていない。

気が付いたら電話は切れていて、目の前に広げた手帳には間宮さんの家に荷物を持っていく日と時間が記入されていた。

額に妙ににじんだ汗をハンカチで拭く。

「凛?」

弥生がにんまり笑ってこちらを見ている。

「顔が上気してるけど、いい話だったんじゃない?」

弥生に事のいきさつを聞いてもらう。

「私、本当に大丈夫なのかな」

「大丈夫!本気で好きになった人なんでしょう?ドン!とぶつかっていきなよ」

今はまだそんな風に考えられるほど余裕はない。

でも、今週末から間宮さんちに住むって自分で決めたんだ。

今度はぷーすけだけじゃなく間宮さんもいるその家に。

「なるようになるよ」

弥生は私の耳元で小さくささやいた。

なるようになるか。

私は苦笑しながら頷くと、グラスにまだ少し残っていた濃いグリーンのカクテルを飲み干した。

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