甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
一週間に読む本の数は相当なものなので、いちいち買ってもいられないから図書館で借りることがほとんどだった。

だけど、今日持ってきた本は久しぶりに自分で買った。

なんだか図書館で予約するのが気恥ずかしいような気がして。

久しぶりに読む恋愛小説。
叶わぬ相手に恋焦がれる主人公がその恋を七転八倒繰り返し成就させるストーリーだ。

恋愛小説は、まるで自分が主人公になったような気持ちになるからページをめくるたびにドキドキした。

買ってきたカフェオレを時々口に含みながら、読み進めていく。

主人公が好きになった素敵な相手は、勝手に私の頭の中で二週間前に遭遇した間宮さんにシフトされていた。

涼しげな瞳でじっと私を見つめている。

こんな私を嫌な顔一つせず受け入れてくれそうな、そんな微笑み。

あの日から私の頭の中はどんなにあがいても彼のことでいっぱいになっていた。

きつい炭酸を飲んだところで消えることはない。

しっかりと、その記憶は私の心のツボにはまっている。

一目惚れなんて!って憤慨していた私も、いつの間にかそんなこともあるって思うようになっていた。

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