Fake!!(フェイク)~漆黒の魔導師と呪われた乙女の物語~
(へっ、ガキ!)

俺は満足げに口の端を吊り上げて笑うと、ハニーバターたっぷりのトーストにかじりつこうと大きく口を開けた。


「いやー、二人ともおはよう!おやぁ~っ、なんだかいい雰囲気じゃないか?」

突然、背後からアホ親父の声がして、俺は思わずトーストを床に落とした。


(ああっ、俺のハニーバタートースト……。)

呆然と床を見つめる俺にはお構いなく、アホ親父は言葉を続けた。

「それにしてもロニィ君、昨夜はかなり激しかったようだね?もしかして一晩中燃え上がったとか?フッフッフッ…エドガー、でかしたぞ!既成事実成立!」


(なにーーっ!)

俺は、エドガーに向かって片目をつぶり、親指を立てポーズを取っている親父の言葉に、危うく二枚目のハニーバタートーストまで落としそうになった。

「ちっ、違う!俺は何もしてねぇよ!」

俺は大慌てで、親父のイヤラシイ妄想を否定した。

「まぁまぁ、照れるな照れるな!ロニィ、君の目の下の隈!そして首筋の赤い痣!そいつを見れば、昨夜何があったか想像はつくんだから♪」

「あのなぁ、それが嫁入り前の娘を持つ父親の言葉かよ。」

「あーっ、そうだったな。エドガー、昼間の姿を見ているとつい無遠慮になってしまったよ。すまんな。」
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