偽装同棲始めました―どうして地味子の私を好きになってくれないの?
急いでマンションに戻ってきた。この時間にはもうコンシェルジェはいない。まだ、篠原さんは帰っていないと思うけど、念のため、ロビーの化粧室でメイクを落として、持ってきていた黒のスーツに着替えた。

メガネをかけて髪を後ろに束ねて、地味な結衣に戻った。部屋の玄関を入ると、篠原さんはやはり戻っていなかった。

私が帰ってから丁度1時間後に篠原さんが帰ってきた。丁度お風呂から上がって一息ついたところだった。「ただいま」というので「おかえり」と返しておいた。機嫌のいい声だった。

ベッドで横になっていると、メールが入った。篠原さんからだった。[今日は会ってくれてありがとう。また、会いたい。おやすみ]と書かれていた。

すぐに返信した。[今日はありがとうございました。歌を聞いてくれてありがとう。おやすみ]
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