星野くんとの朝時間
千歳はお弁当の包みに視線を落としたまま答える。

「・・・・・・ねぇ美羽、星野くんと仲いいの?」

「えー、何?ちょっと朝、話すだけだよー」


星野くんのことを思い出すと、顔がニヤけてしまいそうになるけれど、平静をよそおって事実を答えた。


(何でそんなこと千歳が気にするのだろう?)


千歳はしぶい顔をして続ける。

心なしか声が低い。


「あのさ、美羽にはそゆこと似合わないと思う。男子とか、派手な女子とか話すこと」


「え?」


突然言われたことに、びっくりした。

だけど、そうなんだ・・・・・・とも思った。

千歳は中学時代からの親友だ。

中学一年生の時に同じクラスになってから、ずっと仲良しでいる。

千歳が話しかけてくれなかったら、話す人もおらず一人きりだったに違いない。

その千歳の言うことだ、何が間違いがあろう。

そう、最近の私は浮かれていたのかもしれない。

星野くんをはじめ、クラスの中心的グループの男女とあいさつするようになったこと。

ちょっと話ができたこと。

何かもっと色々な人と関わって、世界が広がるのではないかと思った。

思った、けど。

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