ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「雅樹っ」
イキナリ顔を上げた私に、雅樹が「お、おぅ?」とのけぞった。
「雅樹はサムさんのクッキングショー、撮影に行くんでしょ? その時にお願いしたいことが――」
「あ、悪い、俺は行かないんだ」
「……え? そうなの?」
「あぁ、何人かのカメラマンで分担して撮影してて。このショーの担当は、俺じゃないから」
「そっか……ごめんね、変な事聞いて」
ダメか。
これだ、って思ったんだけど……
ううん、諦めるのはまだ早い。
他に、お願いする人を見つければいいってことだから。
元気を取り戻した私は、雅樹と別れて再び歩き出した。
目指すは、オオタフーズのブースだ。
大河原さんならきっと引き受けてくれるし、適任だと思ったから。
ブースに戻ってきてるかどうかが問題だったけど、不在だったら樋口さんに頼んで呼び出してもらって……
頭の中でシミュレーションしながら、ひたすら来た道を戻っていく。
すると。
「真杉さんっ!」
聞き覚えのある爽やかな声がした。