ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

「何それ」
そんなこと考えてたの?
別に“お世話になった人”、にこだわらなくてもいいのに。
本気で困ったように眉を下げてるから、吹き出してしまう。

「いっそのこと、みんなの名前を並べて、あみだくじで選ぼうか」
「絶対やめて」
「あはははは……」

お互いの背に腕を回しながら、
2人で思いっきり笑う。

よかったね――キミはこんなにも愛されてるよ。
心の中で、つぶやきながら。

「じゃあさ、女の子なら香菜(かな)にする?」
ふと、彼が胸ポケットから取り出したのは、柴田さんの名刺だ。
そっか、柴田さんのフルネームって、柴田香菜だっけ。

「栄養たっぷりでヘルシーだし、スマートな感じがするよね」

はい? え、栄養……?
「……何その奇妙な感想は」

眉を寄せながら私が言うと、「え?」と彼が目を瞠った。

「奇妙でもないだろ。シャンツァイなんて、日本でもヘルシーだって人気じゃないか」

「シャン、ツァイ……」

「ポピュラーなハーブの一種だよ。コリアンダーの中国語名。“香菜”って書いて、シャンツァイ。パクチーって言う方が一般的かな、日本では」

「パクチーならわかる。そっか、シャンツァイって漢字だと香菜、なのね」

そっか、ハーブだから栄養たっぷりで、ヘルシー、なわけね。
ん? ハーブ……?

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