ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
大丈夫。大丈夫だ。
マリーさんだって言ってたじゃない。
マスコミ報道なんか、“悩むだけ損”だって。
彼だってきっと、笑い飛ばすに決まってる。
あんな話、信じたの? バカだなあって。
だからもちろん、大丈夫だと思うけど――……
ネットで、テレビで。
彼女たちの写真を見かけるたび、やっぱり穏やかじゃいられない。
こっちは、三十路過ぎの普通のOL。外見だってバックグラウンドだって、あんなセレブ美女たちと張り合えるものなんて持ってないから。
一体、いつまでこんなことが続くんだろう。
なんか……彼が、どんどん遠くなっていくような……
どんどん、手の届かないところまで――
って!
何弱気なこと考えてんの、私!
もたれていた背を起こして、ピシッと姿勢を正した。
私が信じなくて、どうするのよ。
彼は、赤ちゃんのパパなんだから。
津田先生も言ってたじゃない。
ママのストレスは、赤ちゃんにもよくないって。
何か、別のことを考えよう。冷静になれるような、何か他の……
車内を見渡すと、いつのまにかサイヤ人お兄さんの姿はない。
どこかで降りてしまったみたい。もう一度、お礼言いたかったのにな。
代わりに乗客の大半を占めているのは、平日の昼間、しかも場所柄のせいか、スーツ姿のサラリーマンだ。
スーツ……といえば。
どうしても探してしまうのは、ブルーのストライプ柄。
“彼”が、こんなところにいるはずないけれど。
ニセ秘書探し。実はこっちも壁にぶち当たってたりする……坂田がもたらした新情報のせいで。