愛を知らない私を愛して
「渚はあの子を守るのならあの子と別れるでしょ?って言ってるの」
「……」
莉子の言葉に俺は言葉が出なかった。
……そうだ。
依茉ちゃんが莉子のせいで怪我をしたのはそもそもの原因が俺で、
俺と付き合っていなければ依茉ちゃんはあんな大怪我をしなくて、
藤井さんや依智くんにまであんな悲しい顔させることもなかった。
「……渚が私のところに来なくても別にいい。他の女と結ばれなければ。渚が私と一緒にならないのなら渚は一生独りでいい」
「……」
莉子はそれだけを捨てるように言ってその場を去っていった。